スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

幸せな人生の連環


 犬と人生を共にすることの素晴らしさは、残念ながら小生の如き凡人には、筆舌に尽く


し難く、その昔、英国人の知人から教えられた「幸せな人生の連環」について紹介
するこ

とぐらいしかできません。彼曰く「産まれた時から君の傍に犬がいたとしよう。犬
は幼子

の君を子守りし、少年になれば無二の親友となり、青年になった君は犬の死によって人生


における愛と別離を知り、恋をして、妻を娶り、赤ん坊を授かった時、君は我が子に新し


い仔犬を紹介する。これこそが幸せな人生の連環というものだ」。含蓄深い幸福論ですな。


                シェパード

 昨日(6日)の朝の産経新聞の関西ネタ「シェパード突進→チワワ死ぬ 大型犬飼主に賠


償命令・・・ 」は慰謝料の支払いを命じられた無責任なシェパードの飼主の事情を伝えてい


ます。この期に及んでも、この破廉恥漢は「鎖に繋いでいたから俺の責任じゃない」と強


弁したそうです。こんな慮外者には、犬と人生を共にする資格なんぞありゃしませんぜ。


スポンサーサイト

私の愛した悪女


              40487.jpg

 小生がこよなく愛した柴犬風味の雑種の雌犬「フクスケ」が身罷って早9年になろうと


しております。それはそれは器量の良い、狡賢い犬でした。見目麗しい悪女でしたねぇ。


現在、西亀有に住む娘一家の飼い犬「鰻犬の忠太郎」縮めて「ウナチュウ」は由緒正しき


血統書付きの雌の柴犬ですが、往年のフクスケに比べると垢抜けしないこと夥しく、また


要領をかますことのない一徹者です。城山三郎流に言えば「粗にして野だが卑ではない」


ということになりましょうか。フクスケ存命の折、ウナチュウを連れて娘一家が拙宅に泊


まることも度々でしたが、一家が玄関を開けると フクスケが三和土(タタキ)に仁王立ちで待


ち構えていまして、ウナチュウをジロりと一瞥し「ふん、お前の様な小便臭い小娘の来る


所じゃないんだよ」と決して奥に入れませんでした。娘が地団駄踏んで「フクちゃん、意


地悪しないで入れてやって」と抗議しても、明後日の方を向いて知らぬ顔してましたな。

ふくすけ物語(番外編)・・・ふくすけ大往生

 

               40487.jpg  


 可愛がっていた雌の柴犬、いや柴犬風味の雑種が六年前に逝ってしまいました。

 小雨ふる夜に 路傍で拾った訳ですが、十九年の付合いになろうとは。人間なら

白寿も間近というところです。家路を急ぐ私の後を 鼻を鳴らして 付いてきたところ

から始まり、妻と私に看取られながらの堂々の臨終まで、そりゃあもう、海千山千

のホステスも裸足で逃げ出すシタタカな奴でした。

 一歳までは 手の付けられない不良少女で、さしずめレディスの頭でも張ろうかと

いう暴走ぶり。十歳前後ま で女盛りを武器にご近所の雄犬を顎で使ってのやりた

い放題。ちょっと声を荒げて叱れば プィと家出し、こちらが お迎えに 参上するまで

公園の芝生で 不貞寝を決め込む始末。主従の関係とも思えぬ我ままぶりに 何度

も涙しましたね。逝くまでの十年ほどは枯淡の境地かと思いきや、どうしてどうして。

娘夫婦の飼犬、こちらは由緒正しい血統書付きの雌の柴犬ですが、遊びに来ても

ジロリと睨んで 玄関先で通せんぼ。全く馴染もうとせず 「テメェの様な小便臭い小

娘の来る所じゃぁないよ。」と言わんばかりの姉御ぶりに、娘夫婦も 地団駄踏んで

おりましたな。おまけに、この小娘犬が、若気の至りで 遊びをせがんで 絡もうもの

なら、聞いてるこちらが恥かしくなる様な 大仰な悲鳴ですよ。間違いなく「アレェー、

この年寄りに 無体な乱暴狼藉。」っていう演技ですね。

 そんなシタタカな奴でも、老衰で 眠るが如き 大往生でした。逝った後で、供養の

鉄砲ユリの球根を 裏庭に放り出すように 埋めましたが、しぶといじゃぁありません

か、あれよ、あれよと言う間に 大きくなって、健気に 白い五輪の花が咲きました。

ヤクザな愛犬の生き様と 似合いの様な、向こう岸に 渡っても 白々しいという様な、

妙な感傷に 浸ったものです。言わば、手を焼いていた悪妻に 思いがけずも先立た

れた所在なさって奴ですかね。合掌。

ふくすけ物語(24)・・・耳だけはやめて

 
                    pump021.jpg

 一介のハリウッド女優だったグレース・ケリーが見染められてモナコ后妃に納まった例

も あるので、いくら血統書付きのボーダーコリーの純血種「ジニヤ」でも 器量好しの「ふ

くすけ」 と釣り合わぬものでもあるまいと お気楽に タカを くくっていました。ある日の昼

下がり、 例の如くに 「ふくすけ」 が 「ジニヤ」に マウンティングしておりましたが、 その

内、何を思ったか「ジニヤ」の耳を甘噛みし始めました。 途端に、Sさんのご主人が悲鳴

の様な声で 「『ふく』ちゃん、耳はやめて。耳だけは」 と哀願するのです。幸い「ふくすけ」

も 唯ならぬSさんの気配に胆をつぶし、マウンティングそのものをやめましたが、普段は

温厚なSさんの 「耳だけは やめて」という切羽詰まった哀訴は どういう意味だったのか、

今でも考え込んでしまいます。犬も犬なら飼主も飼主で、私ぁ、Sさん自身の敏感な箇所

だったのかとケシカラン邪推を する始末です。下賎の生まれは 致し方ないものですな。

ふくすけ物語(23)・・・アバズレ


                        ふくすけ桜

 
芝犬風味の雑種の雌「ふくすけ」も、1歳過ぎて レディスの頭を卒業し、成犬の落着

を得て 厄介事も減るかと思いきや、女盛りを好いことに、ご近所の犬達のボス犬で その
 

頃は まだまだ珍しかったボーダーコリーの「ジニヤ」を 誑(タラ)し込んで、相変わらずのや

りたい放題でしたね。ジニヤの飼主のS夫妻が「宅のジニヤちゃんがとんでもないアバズ

レに引っ掛かって」と嘆くこと頻(シキ)りであった と人伝(ヅテ)に伺った時にゃ、顔から火が

出そうでした。 何せ、例の 「ピジョン」という工場跡地のドッグランで、衆人 いや 衆犬環

視の真っただ中、「ふくすけ」が 「ジニヤ」に ヘコヘコと マウンティングするのです。 明ら

かに「ふくすけ」は 他の犬に 見せつけており、「ジニヤ」は 「『ふく』ちゃんには 参ったな」

と 情けなさそうな顔をしています。 「ふくすけ」は 「アタシには 『ジニヤ』って バックが付

いているんだよ。 アタシに 手ぇだすと 『ジニヤ』が 黙ってないよ」 と凄んでいるのです。

ふくすけ物語(22)・・・傷心のヨロメキ

 
 その内、「ふくすけ」は小枝を奪われました。 私は奪った犬に「家のお嬢になんてことす

るの。小汚い犬だね、お前は。人相、いや犬相に品がありませんよ。とっとと帰りなさい。」

なんて「独善的愛情分泌過多症」特有の心神耗弱状態で罵詈雑言。 ところが 「ふくすけ」

は、 獲られた小枝には見向きもせず、 さっさと新しい小枝を探し出してくわえ、 仲間に見

せびらかして、 猛然と追っかけっこを再開します。 また、 他の犬が 性懲りもなく 「ふくす

け」を追うんですね。「お前達は 今まで何を夢中になって奪い合っていたのか忘れたのか。

鶏だって もう少し賢いぞ。」と呆れつつも、 Sさんに 「どうです。 『ふくすけ』は偉いじゃあ

りませんか。 すかさず ゲームの主導権を取戻して」 と持ちかけると、 Sさんは 軽侮の微

笑を浮かべ 「ずる賢いだけです」 と一言で切り捨てました。 思わず、傷心のヨロメキです。


                 pump021.jpg

 Sさんの大人気ない一言で、 「ふくすけ」を 客観視できるようには なりましたがね。

ふくすけ物語(21)・・・家(ウチ)のお嬢(ジョウ)


 とある休日の午後、 「ふくすけ」を 例の「ピジョン」の空地まで連れて行き、他の犬達と

遊ばせておりました。 何か 小枝のような物をくわえた「ふくすけ」が先頭を走り、 他の犬

が一斉に追っかけます。はた目にも「ふくすけ」は、芝犬風味の雑種ながら抜群の器量で、

私は ボス犬「ジニヤ」の飼主Sさんに 「ほら、ご覧なさい。 『ふくすけ』の襟毛のきれいな

こと。 知らない人に よく『可愛いね』なんて 声を掛けられるんですが、 いや、犬でも美人

は 得ってことですねぇ。」と相好を崩して 愛犬自慢。 Sさんは 「はぁ」とか「そうですかね」

とか気のないご返事です。「(当時は珍しかった)ボーダーコリーの飼主は、しがない雑種

なんぞは 眼中になしって訳ですか。 お高く留まることはないやね」と自慢の娘にケチをつ

けられた父親のような 料簡違いの不満を 抱きましたね。


                               450-2010042520271079615.jpg   


ともあれ、 家のお嬢の艶姿を 惚れぼれ眺めて、一人、悦に入っておった訳です。

ふくすけ物語⑳・・・親馬鹿チャンリン

 親馬鹿チャンリンというのは、犬の飼主も、いや犬の飼主こそ罹患し易い「独善的愛情

分泌過多症」という伝染病で、自分と愛犬の絆は、人様も羨む至純のものと言い放って些

かの含羞も感じさせない一種のEthnocentrism(中華思想)というウィルスが原因です。

この病が重篤になると、あろうことか教養あり気な年配の紳士・淑女が、世間の耳目も憚

(ハバカ)らず 「ママに 『好きすき』 して頂戴」 とか 「パパ帰っちゃいましゅよ」なんて赤ち
 
ん言葉で 犬に 話しかける様になります。 有効なワクチンも 開発されていない現状では、

不憫ではありますが、感染者は エボラ出血熱と同じく「レベル4」で 完全隔離すべきです。

何を隠そう、私は、この病から奇跡の生還を果たした希少な重症患者の一人でした。


                                  40487.jpg

 
  「ふくすけ」1歳の頃には、私、 病膏肓に入っており、この小悪魔に 入れ上げて世間様

の顰蹙にも 頓着しない中年男の純情と滑稽が、 愛犬家の失笑を誘っておりましたが・・・。

ふくすけ物語⑲・・・Dog Whisperer


 BS238
チャンネル(FOX)の「カリスマドッグトレーナー」(土日12:00)は、犬好きの私にとってトイレに行
 

くのも躊躇(タメラ)われる好番組で、万一の見逃しに備え 毎週録画する熱の入れ様です。 
                                       cache_wedesign_326870_400x400.png  

毎回、トレーナーのシーザーがTV視聴者の愛犬に関するSOSに応(コタ)え、問題犬のリハビリを見事

に成功させるというドキュメンタリーですが、人を襲い殺処分寸前の犬も シーザーにかかれば 数時間

で 飼主への信頼を取戻し、忠実なペットに 更生します。あれは 「ヤラセ」 じゃないですね。 犬の

問題行動の殆どが 飼主の犬の習性への無知に起因するとして、 シーザーは犬よりもむしろ飼主

を 躾(シツケ)ます。 シーザーの 「飼主はリーダーとして 穏やかに毅然とする」 や 「犬は(不幸な)過

去に 拘(コダワ) ったりしない。 今を 生きてるんです。」 との諭しに、 飼主は 時に 涙して 癒され

ます。 因みに 原題 “Dog Whisperer” は 犬と 「心を通わせあえる 特別な調教師」という慣用

表現で、“Horse Whisperer” なんて ロバート レッドフォード 監督、主演のメロドラマがありましたな。

ふくすけ物語⑱・・・終戦の詔(ミコトノリ)


 「ピジョン」での宴は続き、 お昼時が過ぎ、 夏場のこととて まだまだ明るいとは言いながら、 つい


に夕食の頃合いになっても、誰も帰宅する気配すらありません。それどころか、兵站(ヘイタン)志願兵が


復命して曰く 「晩飯がわりに」とツマミ類と共に おにぎりや焼きソバなんぞの赫々(カッカク)たる戦果を


供出するんですから、お開きになる訳がありゃしません。燃料油を注ぎ続けりゃ火の消える道理がな



いって奴ですよ。 その内、 サキちゃんはじめ空腹に耐えかねたご家族の方達が「ピジョン」に捜索に


来て 呆れ果てての呵々大笑になるんですが、 「カイ」ママ慌てず騒がず 「今日はここで夕食というこ



とでネッ」と軽く往()なして グイッと 酎ハイを 呷(アオ)ります。 まことに、 歴戦の兵(ツワモノ) 「曽谷のアマ


ゾネス」でして、サキちゃん他のご家族の方達も毒気を抜かれてアウトドアでの晩餐に楽しく参加しました。



                         b0131152_17325484.jpg   


 ついに 深夜10時に及んで 酒肴の補給ルートが断たれ、 「カイ」ママより終戦の詔(ミコトノリ)が発せら


れて、皆さん愛犬と共に家路に就きました。実に 12時間の長きに亘る激戦でした。 海往かばぁ・・・。

ふくすけ物語⑰・・・宴の本懐

 
 「ふくすけ」 が転がり込んで来て1年ほど経った夏の日曜日の朝、私は、何時もの様に 「ピジョン」


で 缶ビールを楽しんでおりました。 すると 「カイ」ママが 50リットルもあろうかという大型クーラーボックスを



「ワッセ、ワッセ」と運んで来ます。歌舞伎の「つっ転(コロ)ばし」は優男(ヤサオトコ)役の蔑称ですが、ご面相は



別にして 「つっ転ばし」 同様に 非力の私めが 「曽谷のアマゾネス」に「お力添え」とは 言うもおこがまし



いことながら 片方の端を持ちました。 いやもう、 重いのなんの。 ニンマリ笑って 「カイ」 ママが 蓋を



開くと 缶ビールと氷がギッシリ。早速「ジニヤ」のS夫妻やその他の愛犬家、果ては私の家内までが



加わり、 朝っぱらから 大宴会となりました。さしもの50リットルのクーラーボックスも底が見え始めると、誰と



言うこともなく 「もう少し ビールを」 とか 「ここらで 酎ハイを」 更には 「私ぁ、 冷酒の方が」 なんて 呟



いて、兵站(ヘイタン)を担う志願兵が、次々と、単騎、買出しに出撃いたします。


                                           fa1-2.jpg

 私は、志願兵の無事帰還を祈念しつつ、宴の本懐を遂げるべく「呑めや歌えや」を連呼しましたね。

ふくすけ物語⑯・・・曽谷維新


 色々なお噂の舞台となった 件(クダン) の原っぱは、旧工場の縁 (ユカリ)で 「ピジョン」 と呼ばれていまし


たが、60mX40m程の結構な広さで2mの高さのフェンスで仕切られた理想のドッグランでした。勿論、当時、


そんな洒落た愛犬用語は 未だ日本で普及していませんでしたが、「ピジョン」 という名は 巧 (タク) まず


して 「平和な犬の運動場」 に似つかわしく思いますね。 不思議な暗喩では ありました。
 

                     3c58d5f23bece1f2b87e10a8ed6cfc95.jpg         

 ご近所の愛犬家の皆さんは、 どなたも 「ピジョン」 を散歩コースの目玉に 組込んでいますから、 もの


10回も 顔を合わせれば 互いに親しく口をきく様になります。 その内、夏の盛りの休日に、 私が冷え


た缶ビール片手に 「ふくすけ」 を  ピジョンで 遊ばせていると、 「 あっ、 ずるいっ 」 と 叫ぶや ビールを


買って 駆け戻ってくる人達が増え、 挨拶も ついつい長引きます。 かくして 機は 熟し、ついに、立ち話


から 宴会への大回転に、 敢然、 起ち上がったのは 「カイ」ママでした。 この事件を 私は 「曽谷維新」


と密かに呼び、 以って 彼女の武勲を銘すべしとしたのであります。 さすが 「曽谷のアマゾネス」 ですなぁ。

ふくすけ物語⑮・・・曽谷のアマゾネス


 ワン公達のサブリーダー 「カイ 」の飼主TTさんご一家は、 皆、個性的でアウトドア大好きという


求心力の強い人達でしたね。 「カイ」 ママと、 当時、 小学校六年生だった娘さんの 「サキちゃん」は、


ともに大柄のさっぱりした気性で、お江戸の昔なら 母娘揃って「お侠(キャン)」と呼ばれていたに違いあ


りません。そう言やぁ、私の高校生の娘は、彼女ら二人の武威堂々を讃(タタ)えて、町内最寄りのバス


停名を冠した「曽谷のアマゾネス」の尊称を 陰ながら献上しており、聞いた途端に 思わず「うまいっ」と膝


を叩いたもんです。 ご長男の「コウちゃん」とは、 後年、互いの愛犬達が逝ってしまった後に、忘年会


等の呑み会や旅行会で 好青年ぶりを知ることになりましたが、愛犬達が脳天気に工場跡地のだだっ


広い原っぱで駆け回って遊んでいた当時は、千葉方面の学生寮に いたやに聞きました。

   
                                            450-2010020321081472290.jpg                           

 そのサキちゃん、 コウちゃんも 大人になり、 私の娘や息子も 人の親ですから 「歳月人を俟()たず」


とはよく言ったもので、 もうじき、 私の4人の孫達があの頃のサキちゃんの年になりましょう。

ふくすけ物語⑭・・・哀訴と恫喝

 
 散歩も終盤の日暮れ時になると、 Sさんは「ジニヤ、帰るよ」で始まり 「ジニヤ、お願

だから」に転じて「ジニヤったら、いい加減にして」と肝癪玉が破裂するまで一通りの
哀訴

と恫喝を独演しますが、最後はリードで引きずる様にしてご帰宅とは相なります。何
だか、

看板まで粘って、高根の花の銀座のクラブホステス嬢を 口説いている野暮なお父さ
ん見

た様で、最初は「ねっ、いいだろう」、最後は「お前に幾ら金を注ぎ込んだと思ってる
んだ」

と激昂するパターンですな。それじゃぁ、お相手はせせら笑うだけで なびきませんって。
    

                                   1348403.jpg 
                                                   

 お茶かお華の先生をしている筈のS夫人は 武略とは程遠いご様子ですが、時来たれり

と思えば 「ジニヤ、帰りますよ」とご託宣。背筋を伸ばし手を振って歩き出します。高校野

球の入場
行進のイメージですね。 すると、ジニヤは 「お供つかまつる」と従順そのもので、

神仏のご威徳、遍く四民を照らし賜う とはこのことです。S夫人に 南無 合掌、礼拝。

 

ふくすけ物語⑬・・・利己的な遺伝子


 既にご案内の通り、ボスのジニヤはボーダーコリーの純血種でしたが、Sさんと散歩を


ご一緒する度に、牧羊犬に脈々と伝わるDNAの働きの精妙さに舌を巻いたものです。  

                                        
1278311i.jpg

 ボールを投げてやると、一陣の疾風と化して追跡、未だ転々とする内に捕獲して、些か

の懈怠
もなく取って返します。投げ手の足下にボールをそっと置き、頭を低くして後ずさり、


緊張感を保った待機姿勢で再度の業務命令に備えるのです。そう、何十回、何百回でも。


束の間ですが、動物行動学の祖ドーキンスまで遡らなくとも、いささか食傷気味ですが竹


内久美子の毎度のご紹介「利己的な遺伝子(The Selfish Gene)」の仮説通り「全ての

個体
は遺伝子に操られる乗物に過ぎない。」 と思えてきましたね。

 それにしても、ジニヤがご主
人よりも奥さんに深い敬意と忠誠を捧げているのは、私にと

って物悲しくも身につまされる発見でした。 祇園精舎の鐘の声、 諸行無常の・・・。

ふくすけ物語⑫・・・お妾さんに一軒持たせ

 かれこれ二十年も昔になりますが、私は、江戸川を隔てた東京近郊都市に暮らしていま

した。JRの駅からバスで十五分も走ると宅地に囲まれた畑が点在しており、なるほど、昔

は、江戸朱引きの内に住む裕福な商家のご隠居が お妾さんに一軒持たせ、人目を気にし

つつ舟で通ったというお噂で、その土地柄らしい鄙びた風情が残っていましたね。

                     shiba.gif

 
その当時の「ふくすけ♀」のお仲間とその飼い主を数え挙げてみましょう。ボス犬がS夫妻

の「ジニヤ♂」、 サブリーダーがKDさん一家の「カイ♂」、米国帰りの商社マン夫人KMさん

の「ハナ♀」、 ご近所のアパートのお嬢さんHちゃんの「チャコ♀」、SR夫人の「クッキー♀」、

飼い主の方のご尊名は失念しましたが、ゴールデンリトリーバーの「ジョディー♀」や小型犬

「シェリー♀」といった面々です。 やっぱり雌の方が飼い易いんでしょうかね。自分の子供や

孫達のことを考えてみても、雄は騒々しくて厄介ですものね。

ふくすけ物語⑪・・・起死回生

 農園に走り込んで、目当ての手動ポンプにまっしぐらです。こいつは井戸水をギッコギ

ッコと汲み上げて畑に撒くためのものですが、この緊急時にあって、とっさに手動ポンプ

を思い出したのは、我ながら神がかり的ヒラメキでした。

                   2587057332_6b199a917c.jpg    
              
 
  気絶した「ふくすけ」をポンプ蛇口の下に据え、「南無頓証八幡大菩薩」の祈りの声と

共にザバザバと水を浴びせること十数回、「プハーッ」という破裂音と同時に息を吹き返

した
「ふくすけ」は、立ち上がって驚いたように辺りをキョトキョト見回しています。 私は、


ずぶ濡れの「ふくすけ」を抱き上げ、涙ながらに頬ずりして「よく生き返った。」と繰り返


囁き続けるばかりでした。ところが、命の恩人の私に対して「ふくすけ」は何だか迷惑そ

うな顔付きで 「よしてよ。」とイヤイヤをするのです。まことに忘恩のふるまいですが、


となっては、炎天下の悲惨な事故と雄々しい救命措置も往時茫々であります。

ふくすけ物語⑩・・・犬事不省

 公園を通り、典型的な東京近郊の農地の間の舗装道路を抜け、二~三km先の昔の農業

用貯水池を目指して、「ふくすけ」と私はヤケクソになってひた走りました。「ふくすけ」は、こ

んなに長いのかとうろたえるほどに長い舌をダラリと出して、息遣いも荒く付いてきます。 し

かし、
私は「おまえも我が身に試練を与えたいのか。偉いぞ。」と見当違いな共感を覚えるば

かりで、危ない坂道を転がり落ちているって客観認識はこれっぽちもありゃあしません。

                    3070801636_960438b023.jpg    
  

 何とか復路に入って、心に決めたゴールの公園も間近というところで「ふくすけ」の足運び

が急に乱れてパタンと倒れました。見ると白目を剥いて四肢を痙攣させており、一目で人事

不正、いや犬事不省と知れます。いやぁ怖かったですね。家族が取り乱して私を責める有様

がまざまざと脳裏に浮かび、何とかせねば家庭崩壊必至とまで思い詰めました。私は「ふく

すけ」を抱え、公園前に拓かれた市営の貸し農園までヨタヨタと走りました。

ふくすけ物語⑨・・・倒錯した喜び

 「病膏肓に入る」ということで、例年の如く札幌女子国際マラソン観戦後にジョギング

に飛び出そうとすると、「ふくすけ」が「連れて行け。」とこれ見よがしに背筋を伸ばして


アピールします。九回裏、ツーアウト一、三塁の逆転サヨナラのチャンスに、ベンチを温

めていた選手が呼ばれもしないのに監督の前でビュンビュン素振りするようなもんです。


                                           3070710190_ea2cf673c1.jpg  

 致し方なくお供させて表に出ると、燃えるような夏の日差しで体中の血液が沸騰しそ

うな気配でした。アスファルトの照り返しもすさまじく、路上には陽炎が立ち込めておる

のですが、いかんせん当方は自己懲罰の狂気に駆られた中年男ですから「七つ下がり

の雨」という奴で、おとなしく已む訳がないんです。それ行けと「ふくすけ」を連れて駆け

出しましたが、暑いのなんの。ものの二十~三十秒で全身から汗が吹き出し、吸い込む

息もドライサウナ並みでしたが、自ら課した荒行に倒錯した喜びが湧き上がります。

ふくすけ物語⑧・・・十年一覚揚州の夢

何だか「ふくすけ」の傍若無人ぶりをあげつらっているようで気が引けます。実際には、

私が「ふくすけ」をトンデモナイ目にあわせたこともありますよ。あれは「ふくすけ」が転が

り込んできて初めての夏、「ふくすけ」が五~六ヶ月ぐらいのことでしょうか。

                  o0420029811820378992.jpg

前にも言ったように、その頃、私は営業関係の責任者で毎夜のアテンド稼業に身をや

つしておりました。その上、毎年、夏に挙行される「札幌女子国際マラソン」をTV観戦


ると表に飛び出して半死半生になるまでそこらをジョギングするという奇病

にとり憑かれていました。今さら自己診断すると、禁欲的で孤独な戦いを貫

く女性ランナー達に連夜のアテンド暮らしで爛れた我が身を引き比べて、自

己嫌悪に陥り、自分に懲罰を加えるという自虐自傷の行為だったような気も

します。若気の至りの醜態でして、思い出すと杜牧じゃないですが「十年一

覚揚州の夢」てな気分になりますね。いやお恥ずかしい。

ふくすけ物語⑦・・・「ふくちゃん」パパ

 Sさんの愛犬は、氏素性定かならぬ「ふくすけ」とは違い、通称「ジニヤ」まこと本名

は「ナントカ・カントカ・ジニヤ」というヤンゴトなきボーダーコリーの純血種でありまして、

その当時、ご近所の飼い犬達のボスでした。


                     
079_s.jpg

 犬の飼い主の方達とは、自然のなりゆきで、会釈から始まって、立ち話、果ては散歩

コースの空地での酒盛りという具合に親しくなりました。その後もご縁が途切れず、互

いの愛犬が逝ってしまった今でも、時折、小旅行や忘年会等の機会をつくって顔をあわ

せます。多くの愛犬家達がそうであるように、私達も互いに飼い犬の名前で、例えば、

「ジニヤ」パパとか「カイ」ママなんて呼びあっておりましたな。恥ずかしながら私は「ふ

くちゃん」パパでした。姓名を存じ上げないまま親しくなっているので、時には「ふくちゃ

んのお家はどこですかぁー。」と呼びかけることになる訳で、まぁ、のどかなもんです。

ふくすけ物語⑥・・・歳々年々

  一度、私が勤めに出ている間に家出してしまい、家内の夜更けにいたる再三の捜索も

むなしく、「ふくすけ」の行方は杳(よう)として知れなかったことがありましたね。家内は、

疲労困憊して居間にへたりこみ、自責の念にさいなまされていたと言いますから、私同様

に、やはり末っ子の「ふくすけ」には大甘だったということでしょう。

                     dcs-shiba02.jpg                  

  当時、大学生になったばかりの息子が道路沿いの6畳間に巣くっておりましたが、何や

ら、人の名前を呼ばわりながら家に近づいてくる年配男性の声を聞いたそうです。息子も初

めは事態が呑みこめなかったのですが、確かに「ふくちゃんの家はどこですかぁー。」と呼

びかけています。家内と二人、あわてて玄関から飛び出し、米つきバッタのようにペコペコ

しながら「ふくすけ」を引き取ったとのことで、親切な男性は、犬の散歩仲間のSさんでした。

そのSさんも既に鬼籍に入られて久しく、まことに「歳々年々人同じからず。」です。

ふくすけ物語⑤・・・山椒太夫

  「ふくすけ」の数あるご乱行の中でも、「家出」には、ずいぶんと泣かされましたね。

                     E381AAE381AEE381AFE381AAE381A8E78AAC.jpg

  ちょっと声を荒げて叱ろうものなら、プイと行方をくらまして音沙汰なし。こっちは、交

通事故や野犬捕獲等の陰惨なイメージに押し潰されて、気息奄々(えんえん)ですわ。

結局、山椒大夫に出てくる盲目の母者人でもあるまいに“「ふくすけ」恋しや、ホーヤレ

ホー”と哀切きわまりない声で唄いながら、あてどなく尋ね歩くはめになるんですよ。

  そう言やぁ、白川静先生によると「尋」という文字は「右」と「左」を縦に重ねた構成に

なっており、左右の手に呪具を持ち、神のおわすところを真剣に尋ね求めるという象形

らしいのですが、まぁ、それにちかい「憑かれた」ような気持でしたな。やっとのことで、

公園や空き地で不貞寝しているのを発見して、引きずるように我が家に連れ帰った時に

は心身ともに疲れ果て、ノホホンとくつろぐ「ふくすけ」が心底うらめしかったものです。

ふくすけ物語④・・・鉄拳制裁

  ところが、二~三カ月もたったある日を境に「ふくすけ」の逃走と挑発癖は、ピタリと

やみました。いやぁ、劇的な更生ぶりに驚いたもんですが、これは、娘の捨て身の躾、

ありていに言えば教養にとぼしい私大応援団まがいの鉄拳制裁が功を奏したんです。

  散歩にでた娘が、人を小馬鹿にしたような逃走と挑発に業を煮やし、頭ほどもあろ

うかという石くれを三つ、四つ、「ふくすけ」のかたわらに投げつけたそうです。いや、

娘は「殺してやる。」と思ったそうですから、かたわらってのは結果論で、本当のところ

は逆上して狙いを外しただけですよ。

  「ふくすけ」は、震え上がってシオシオとお縄を頂戴したそうです。群れの中で最下

位に序列づけていた娘に激しい教育的指導を受けて、「ふくすけ」は末っ子の立場を思

い知ったんでしょう、チョイとばかり聞き分けが良くなりました。

                 40487.jpg

                 

ふくすけ物語③・・・レデ゙ィスの頭

  まぁ、すったもんだの出会いでしたが、「仔犬のくせに調子のいいやつだな。」ぐらい

の好印象を抱いていたんですから、家族一同揃いもそろってお人よしでした。この後、

十七年間の長きにわたって「ふくすけ」に振りまわされようとは。
 
  とにもかくにも、一歳までは手のつけられない不良少女で、さしづめレディスの頭で

も張っていようかという暴走ぶり。 
 
  朝夕、散歩に連れだすんですが、人気のない公園やグランドで頃合を見て放してや

ると、一目散に逃走です。追いかけて捕まえようとすると、憎らしいじゃありませんか、

四~五メートルの距離を置いて、頭を低くし、持ち上げたお尻をクリクリと振って「さぁ、

捕まえてごらん。」と挑発する始末で、スルリ、スルリと鰻の様な逃げっぷり。「おのれ、

この小娘が。」と危うく頭の血管が切れそうになりましたね。

                 450-2010042520271079615.jpg

ふくすけ物語②・・・居候

 三ケ月ほどの仔犬だった「ふくすけ」は、家出少女よろしく好奇心旺盛なくせに不安

げな様子で町中をうろついているおりに保護され、我が家のイソーローとなりました。

でも、「三杯目にはそっと出し」なんて殊勝さは、カケラもありゃあしませんでしたね。

 最初の夜は、玄関のタタキに毛布をしいて、周りを古新聞の束で囲い「ふくすけ」の

仮の住まいを整えたもんですよ。あくる朝、毛布の上で丸くなってスヤスヤ眠っている

「ふくすけ」を見て、中学生だった娘が「お利口にしてたねえ。」とさっそくのお追従。と

たんに奥の座敷から家内の悲鳴で、駆けつけると、六畳間のまん中に湯気の立ちそう

なウンチがとぐろを巻いて鎮座していました。朝っぱらからこんなものを参拝させられた

日にゃぁたまりませんわ。「ふくすけ」は古新聞の壁をよじ登り、畳の上で「大小」をす

ませ、また戻って何くわぬ顔で寝ていた訳で、初日からいけ図々しい奴でしたね。
   
                 pump021.jpg

ふくすけ物語①・・・花柳界のヒロイン

  五年ほど前、十七年間かわいがっていた柴犬、いや柴犬風味の雑種の雌犬が逝ってしま

いました。春浅い二月の雨の日でしたが、家内と私に看とられ、眠るような臨終でした。まず

まずの大往生ですよ。以来、春先の雨の日には、彼女のことを妙になつかしく思い出します。

 思い起こせば、生後三カ月前後で我が家に転がり込んできた訳ですが、およそ主従の関係

とも思えぬ彼女の身勝手ぶりに手を焼かされたもんです。そりゃあ、もう、海千山千の銀座の

ホステスさんも裸足で逃げ出すようなシタタカな奴でしたね。

 娘が彼女に「ふくすけ」と芸者風の名前をつけましたが、なに、四本の足先が白かったので、

白足袋をイメージして、某インナーメーカーさんの社名を頂戴したんでしょうな。まぁ、娘の発

想はどうであれ、当時、営業責任者として連夜の接待稼業という苦界に身を沈めていた私は、

「ふくすけ」という名前に、ケナゲに生きる花柳界のヒロインを連想しましたね。
 
 

   
                  ふくすけ桜 
                           
    
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

東西南北客争来

Author:東西南北客争来
昭和25年 福岡県北九州市生まれ
麺と酒と銭湯を 人並にこよなく愛し
古今亭志ん朝とロッドスチュワートを聴き
柴犬と白川静と池波正太郎に夢中

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
アクセスカウンター
FC2 Blog Ranking
日本ブログ村ランキング
にほんブログ村 オヤジ日記ブログ アラ還オヤジへ
にほんブログ村 犬ブログ 茶柴犬へ
にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 葛飾区情報へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。